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エステル記 6章1節~7章10節 [エステル記]

<「私と私の民族は取り引きされ、滅ぼされ、殺され、絶滅されそうになっているのでございます。私どもが、男も女も、奴隷として売られるだけなら、王を煩わすほどの事ではございませんから、私は黙っておりましょう。」(7章4節)>

「エステルが酒宴を催し王にハマンの策略について話す前、王は偶然にもモルデガイの手柄を知ります。王は彼に褒美を与えますけれども、それは彼を殺そうとするハマンの目論見とは真逆の事でした。」と、木村牧師は書きだされる。

二日続きのエステルの酒宴の一日目が終わった夜、クセルクセス王は眠れないので宮廷日誌を読み返した。そこには、5年前二人の宦官が王に謀反を企てている事を、モルデガイが知らせたという記録があった。王が彼はこのために、どのような栄誉と称賛を受けたのかと言った。ペルシャ王は代々善行者に惜しみなく称賛を与える事で有名であったが、この時彼は何も受けていなかった。

「5章の終わりでは、モルデガイの破滅は避けがたいものに見えました。ところが神様がこの状況に介入されます。その結果モルデガイとハマンの立場は逆転する事になるのです。」とS牧師は話された。

王ばかりでなくハマンも眠りを妨げられたのか、王宮の外庭に来ていた。それは、準備した柱にモルデガイを吊るす事を王に進言するためであった。中庭に入る特別な許可を王から得たハマンに王は「王が栄誉を与える事を望む者には、何をすればよいのだろうか」と尋ねた。ハマンは王が栄誉を与える事を望む者は自分以外にあるまいと心に思い、自らの願望を並べ立てた。

王はハマスに、それらを全て準備し、王の門にいるユダヤ人モルデガイにそうするようにと命じた。そこでハマンはモルデガイに衣服を着せ、馬に乗せて町の広場を通らせ、その前に「王が栄誉を与えようと思う人はこうするのだ」と呼ばわった。絶望した「ハマンは悲しく頭を覆いながら家路へ急いだ(12節)」妻も友人も今更彼を非難した。そこに、王の遣いが来てエステルの催す酒宴に出るよう促した。

酒宴の席で王はエステルに「何か望みがあるなら叶えてあげる」と言った。「王よ、もしお心に適いますなら・・・私のために私の命と私の民族の命をお助けいただきとうございます。」と、自分がユダヤ人であることを明かし、ユダヤ人迫害はハマンの企てであると言った。それを聞くと王は怒って酒宴を後にした。王の怒りはハマンの裏切りよりも、それを見抜けなかった自分の非力に対してであろう。

「人を陥れようとする企ての思いが打ち砕かれ神の御心が貫かれます。言い換えれば、神の思いは私たち人間の思いを高く超えている事がはっきり示されたのです。」と、木村牧師は結ばれる。

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「商店を継ぎし友みな廃業す屋号で呼びあい育ちし町の 高鳥ふさ子」


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エステル記 4章4節~5章14節 [エステル記]

<「早速、スサにいるすべてのユダヤ人を集め、私のために三日三晩断食し、飲食を一切断ってください。私も女官たちと共に、同じように断食いたします。このようにしてから、定めに反する事ではありますが、私は王のもとに参ります。このために死ななければならないのでしたら、死ぬ覚悟でおります。(16節)>

「モルデガイは嘆き続けたのではありません。ユダヤ人たちを救うべく立ち上がります。そしてハタクを通して養女エステルに、王妃の地位を用い、事の一切を王に訴えるように伝えます。」と、木村牧師は書きだされる。

宰相ハマスは、モルデガイの非礼に激怒し、それをきっかけに国中にいるユダヤ人滅亡を企てた。彼は彼らが王の法律に従わない民であると直訴し、合法的に滅ぼす事が可能になる勅書を作る許可を得た。モルデガイはこれを知ると衣服を裂き粗布をまとうと灰を被り、苦悩に満ちた叫び声をあげた。

女官や宦官からモルデガイのことを聞いたエステルは、宦官ハタクにモルデガイに何事があったのか聞いてくるようにと命じた。モルデガイは事の一部始終、ハマスがユダヤ人滅亡を謀っていると伝え、ユダヤ人絶滅の触書の写しを見せた。そして、それをエステルに見せ「彼女自身が王のもとに行って、自分の民族のために寛大な処置を求め、嘆願するように伝言させた。(8節)」。ハタクはエステルに報告した。

しかし、王の警護は厳重で許可なく王に近づく者は、王妃と言えども死刑に処せられる。エステルの返事がモルデガイに伝えられると「他のユダヤ人はどうであれ、自分は王宮にいて無事だと考えてはいけない。この時にあたってあなたが口を閉ざしているなら、ユダヤ人の解放と救済は他のところから起こり、あなた自身と父の家は滅ぼされるに違いない。」と言い、そして、

「この時のためにこそ、あなたは王妃の位にまで達したのではないか。(15節)」と、言った。モルデガイの信仰の言葉、預言の言葉である。彼はエステルが人間的な理由で心配する事を指摘し、自分は王妃であって他のユダヤ人とは違うと考えているが、「あなたも殺される」と厳粛に警告した。

同時にモルデガイは「エステルがいなくても、ユダヤ人救出は神によってなされる」と確信していた。ユダヤ人は選びの民であり、神の真実と約束は存在し、必ず助けと救いは起こると彼は信じていた。ここで神の計画に参与する事を躊躇するなら、エステルとその家族は滅ぼされると警告した。

ルカ書17章「自分の命を救おうと努める者はそれを失い、それを失うものは命を得る」

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「空半分雲南北に棚引きてほがらほがらのグラデーション 壱岐由美子」


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エステル記 2章19節~3章6節 [エステル記]


<ハマンは、モルデガンが自分にひざまずいて敬礼しないのを見て、腹を立てていた。(5節)>

「ペルシャの宰相ハマンは『王宮の門に座っていた』モルデガイの非礼に激怒します。モルデガイは自らがユダヤ人であることを公言していたので、ハマンはこのことをきっかけに国中にいるユダヤ人たちの滅亡を企てます。」と、木村牧師は書きだされる。

古代ペルシャ(現イラン)の王クセルクセス(BC485~465年在位)のスサの王宮は遺跡として今も現存し、記事に登場する王宮の門、内庭、外庭、宮殿の園の所在を知る事が出来る。エステルは父母を失くしモルデガイに引き取られていた。彼女は異教徒の王の側女として召され、愛するユダヤ人の交わりから引き離されてしまう事になった。それを悲しみモルデガイとの交わりを何より大切にした。

王の厚意と愛を受けてエステルの頭に王妃の冠が置かれ、盛大な祝宴が催され、大勢の大臣、家臣が招かれた。後日その宴が再び行われ、招かれたモルデガイは「王宮の門」に座っていた。と述べられ唐突に「エステルはモルデガイに命じられていたので、自分の属する民族と親元を明かす事はしなかった。モルデガイに養われていた時と同様、その言葉に従った。(20節)」と、10節に重ねて記す。

そして、「さてその頃」と始まる。王宮の門に座っているモルデガイの近くで、2人の宦官が憤慨しながらクセルクセス王を倒そうと謀議していた。それを知ったモルデガイはその事をエステルに告げ、王の知る事となった。捜査されその事が明らかにされると、2人は木に吊るされて処刑された。

その後、王はアガグ人ハマンを引き立て「同僚の大臣の誰よりも高い地位につけた」 最高位に着いたハマンが王宮の門にくると、王の命令によって役人たちは跪いて敬礼した。しかし、ひとりモルデガイだけは跪かず、敬礼もしなかった。

アガグ人とは出エジプトの民を最初に襲撃した民、アマレク人の子孫である。主ご自身が「アマレクの記憶を天の下からぬぐい去らねばならない(申命記25章)」と命じられているイスラエルの仇敵であった。一方モルデガイはサウル王の父キシュの子孫であり、神が聖絶を命じられたアマレクの子孫であるハマンの前に跪くなどという事は愚かな行為であった。

そこで王宮の役人たちはモルデガイに「なぜ王の命令が聞けないのか」と毎日言ったが、彼は耳を貸さなかった。それで彼らはそれがモルデガイの信仰なのだと理解しハマンに告げた。ハマンはモルデガイがユダヤ人であることを知ると「国中にいるモルデガイの民、ユダヤ人を皆、滅ぼそうとした。(6節)」

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「魔術師のように秋は来てこの夏に疲れた顔を剝がしていった 魚谷真梨子」


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