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ルツ記 4章1~22節 [ルツ記]

<近所の婦人たちは、ナオミに子どもが産まれたと言って、その子に名前を付け、その子をオベドと名付けた。オベドはエッサイの父、エッサイはダビデの父である。(17節)>

夫エリメレクの遺した土地を受け継ぐ男子を持たないナオミ、受け継ぐべきであったルツの夫マフロンも死んでいた。BC2000年の時代、女性は男性の所有物でしかなかった。土地を持つ権利のない女2人はそれを売って生きる道を選ばざるを得なかったがその術を持たなかった。その2人の前にボアズが現れ、ナオミは土地買戻しの権利と義務を負う近親の者を、彼の中に見出す事が出来た。

ボアズはルツに約束した通り、町の門のところに行き、自分よりも買戻しの権利と義務を負う親戚の人にその責任を果たさせようとして、門を通り過ぎようとする親戚の人に声をかけた。町の門は、裁判や商談などが行われる場で、公の証人となる人たちの前で争いなどの決着が着けられていた。

ボアズはその親戚の人にナオミの事情を伝え「あなたが責任を果たすつもりがあるなら、この証人たちの前で買い取って下さい。もし、それを拒まれるなら、そういって下さい。私が考えます。責任を負っているのはあなたの他になく、私はその次の者ですから。」と言うと、親戚の人は買い取りを承知した。するとボアズは「その時、息子の妻であるルツも引き取らなければなりません。」と言った。

すると親戚の人は、そこまでは出来ないから「親戚として果たすべき責任をあなたが果たして下さいませんか。そこまで責任を負う事は、私には出来かねます」とボアズに言って履物を脱いだ。親戚としての責任の履行を譲渡する際に一切の手続きを認証するために、その当事者は履き物を脱いで相手に渡す事になっていた。彼は履物を証人たちの前で脱ぎ、その権利をボアズに譲った。

そこで、譲渡を受けたボアズは、「エリメレクとその2人の息子の遺産を買い取ります。そしてマフロンの妻であったモアブの婦人ルツも引き取って妻とします。故人の名をその嗣業の土地に再興するため、また故人の名が一族の郷里の門から絶えてしまわないためです。あなた方は今日、このことの証人となったのです。」と、証人たちに約束した。

証人たちは、ボアズが迎え入れるルツと、ボアズに対して神の祝福を求めて語る。ここで言われる「ラケルとレア」は、ヤコブの妻。タマルは異邦人女性でルツ同様に救い主の系図に名を連ねる者となっている。ボアズとルツの結婚も、救いの歴史にその名が刻まれる。2000年後の新約記者によって、主の系図の中に異邦人女性たちが、男性の名が連なる中にある。

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「右目にマル大きく付けた顔の絵をベッドで見てる明日手術なり 松村豊子」


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ルツ記 3章1~18節 [ルツ記]

<ルツは「言われる通りにいたします」と言い、麦打ち場に下って行き、しゅうとめに命じられたとおりにした。(5.6節)>

ルツとの暮らしを続けるなか、姑のナオミはルツに「私の娘よ、私はあなたが幸せになる落ち着き先を捜していました。あなたが一緒に働いてきた女たちの雇い主ボアズは私たちの親戚です。(1.2節)」と話し出した。そして、体を洗い香油を塗り、肩掛けを羽織り、今晩麦打ち場で大麦をふるい分けるボアズが、食事を済ませ休む時、彼の側へ行き、その衣の裾で身を覆って横になるようにと続けた。

麦打ち場は戸外にあり、収穫された麦を見張るため、この日、ボアズは夜通しの番をする日であった。ナオミはルツの再婚は望めないと思っていたが、彼女がボアズの畑に導かれた事を聞き、彼がナオミの死んだ夫の土地を買う権利のある者の一人だと知った。ナオミはこの日を待っていたのかも。

ルツはナオミの言葉に従い、麦打ち場に下り、山と積まれた麦束の端に身を横たえているボアズに忍び寄り、彼の衣の裾で身を覆って横になった。夜半になって寒さに目覚めたボアズは、女が足もとに寝ている事に気付いた。驚くボアズに「私はあなたのはしためルツです。どうぞ、あなたの衣の裾を広げて、このはしためを覆って下さい。あなたは家を絶やさぬ責任のある方です。」とルツは言った。

ボアズは「私の娘よ。どうかあなたに主の祝福があるように」と言った。そして、ルツに心配する事はない、自分はナオミの土地を買い戻す権利を持つ者だが、自分より近い買い戻しの権利を持つ者がいる。彼がその役目を果たすなら、それでいいでしょう。しかし、彼がそれを望まないなら、「主は生きておられます。私が責任を果たします。」と続けた。

申命記25章には「人が子を遺さずに死んだ場合は、買い戻しの権利のあるものがその妻を娶り、死んだ者の名を残すように」と定められている。ナオミが夫に遺された土地はルツの夫であるマブロンのものであり、つまりルツにはボアズに買い戻しを要求する権利があったという事になる。

O牧師は「ボアズは本当に誠実な人です。妙な噂が流れないように、夜明け前に起きて、ルツを自分の家に帰しました。そればかりでなく、彼はルツの肩掛けの中に大麦6杯を量ってそれを彼女に背負わせます。」と話された。

夜明け前に帰ったルツは全てナオミに話した。「わたしの娘よ、成り行きがはっきりするまでじっとしていなさい。あの人は今日中に決着が着かなければ、落ち着かないでしょう。」とこたえた。

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「その温きからだ寄せきて寝なさいと深夜一時に猫は言ひくる 三好くに子」


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ルツ記 2章1~23節 [ルツ記]

<「主人が亡くなった後も、しゅうとめに尽くしたこと、両親と生まれ故郷を捨てて、全く見も知らぬ国に来たことなど、何もかも伝え聞いていました。どうか、主があなたの行いに豊かに報いてくださるように、イスラエルの神、主がその御翼のもとに逃れ来たあなたに十分に報いて下さるように。(11.12節)>

二人は帰郷したものの、生活の糧を得なければならなかったが、歳を重ねたやもめと、異邦人のやもめの働き口はなかった。帰った時期は「大麦の刈り入れ時」の4月頃、落穂拾いならすぐにできる。イスラエルでの落穂拾いというのは、貧しい人や異国人を救済する福祉策として、彼らのために落穂は集めてはならない、またぶどうの実を取り尽くしてはならないと、律法に定められていた。

「畑に行って見ます(2節)」モアブ人を畑の人たちは快く思うだろうか。好意を示してくれる、刈り入れをする農夫の後について「落穂を拾わせていただきます。」とルツはナオミに言うと出かけた。そこはたまたまナオミの夫エリメルク一族の有力者ボアズの所有する畑であった。ベツレヘムから来たボ゙アズは農夫たちの後について落穂拾いをしている娘が、噂で聞いていたナオミの嫁ルツであることを知った。

彼はルツに、よその畑で落穂ひろいをせずここにいて、他の女性たちと一緒にいるようにと言い、若者にはあなたの邪魔をしないように命じておこうと言い、のどが乾いたら彼らが汲んでおいた水を飲むようにと言った。

それを聞いたルツはひれ伏して「よそ者に、これほどの厚意を示されるのはなぜですか。」と尋ねた。「・・・イスラエルの神、主がその御翼のもとに逃れ来たあなたに十分報いて下さるように(12節)」と応えた。ルツは「はしための一人にも及ばぬこの私ですのに、心に触れる言葉をかけて頂いて。本当に慰められました。」と言った。

マタイ福音書1章「キリストの系図」の5節「サルモンはラハブによってボアズを、ボハズはルツによってオペドを、オペドはエッサイをエッサイはダビデ王をもうけた。」 ヨシュア記2章に登場する遊女ラハブはエリコに住むエモリ人であった。偶像崇拝するエモリ人を神は一掃されようとした。ある時、神の命を受けて遊女ラハブの宿に来たイスラエルの偵察隊を彼女はかくまう。神を恐れる心が彼女に宿っていたのだろう。

この行いによってエリコ陥落の後、彼女は救出され、イスラエルの民となり結婚し、ボアズが生まれた。ボアズの異教の国から来たルツへの心遣いはその出自が大きく影響していたのだろう。こうして、神の不思議は、異教の血を引くルツとボアズの2人は救い主の系図に名を連ねる事になった。

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「背を屈め葡萄畑を進みつつ大人はすこし子供に戻る  朝野陽々」


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ルツ記 1章1~22節 [ルツ記]

<あなたの民は私の民、あなたの神は私の神。あなたの亡くなられる所で私も死に、そこに葬られたいのです。あなたを離れるような事をしたなら、主よ、どうか私を幾重にも罰して下さい(16節)>

紀元前1300~1200年士師記の時代、「飢饉が国を襲ったので、ある人が妻と二人の息子を連れて、ユダのベツレヘムからモアブの野に移り住んだ。(1節)」と、始まる。聖書巻末の地図3によると、ベツレヘムから異邦人が住むモアブは死海の東側で、イスラエルとは敵対関係になる地であった。しかし、飢饉の中で生き延びるため、少しでも肥沃とされるモアブの地に向かうしかなかったのだろう。

彼らが異邦人モアブの人たちに受け入れられたのか、食物は十分にあったのか想像に難くない。やがて夫が死に、2人の息子が結婚後に死んでしまう。男手が無くなりさらに厳しい生活は続く。家を継ぐ孫も生まれることなく、遺された女3人、飢饉はここでも続き力仕事にも苦労する。ベツレヘムから離れるのではなかったと愚痴る事もあったろう。

「ナオミはモアブの野を去って国に帰る事にし、嫁たちも従った。(6節)」しかし、故国に帰る道すがら、彼女は2人に「自分の里に帰りなさい」と言った。彼女はやもめとなったモアブ人の彼女たちが、ユダの地で再婚相手を見つける事が出来るとは考えられなかった。「帰りなさい。・・・あなたたちよりも私の方がはるかにつらいのです。主のみ手が私に下されたのですから。」と、言った。

苦労を担うのは自分だけで十分だと言うと、2人は声をあげて泣いた。弟嫁はナオミの説得に根負けし別れの口づけをしたが、ルツはナオミに縋り付いて離れなかった。そのルツをさらに説得するナオミに。

「あなたを見捨て、あなたに背を向けて帰れなどと、そんなひどいことを強いないでください。・・・あなたの民は私の民、あなたの神は私の神。あなたの亡くなられる所で私も死に・・・あなたを離れるような事をしたなら、主よ、どうか私を幾重にも罰してください。」とルツは言った。

「ナオミはこうして、モアブ生まれの嫁ルツを連れてモアブの野を去り、帰って来た。二人がベツレヘムに着いたのは、大麦の刈り入れの始まる頃であった。(22節)」

「ルツにはモアブ人の血が流れ、偶像礼拝の環境で育ち、生まれも見た目もモアブ人でしたが、いつの間にか中身はイスラエル人になっていました。主なる唯一の神を信仰するナオミの信仰が神によって用いられルツを変えたのです。私たちの存在意義もここにあるのではないでしょうか。」と、K牧師は話された。

今日の短歌 短歌誌「塔」より

「もう少しましな顔だと思ってた二か月ぶりの床屋の鏡 小島順一」


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